暗闇にひびく謎の音

以前、夜11時頃になると決まって変な音が聞こえてきた。
それは家の外からのようだった。


ぶわ~~~~~っ。 ぶわ~~~~~っ。とかってあたしには聞こえる。
いったい何の音なんだろう??
だけど、人の声ではないし、だからといってこれに近い音も思い当たらないくらい特殊な音に聞こえる。
台所の窓から外をのぞく。しかし街灯があるとはいえ薄暗くてその音のする方向さえつかめない。


なんなの?いったい。もう気になって寝れたもんじゃない。
怖いけどこの音の正体がわからないのはもっと怖い。


当時、家の裏庭の向こう側に小さい水路をはさんで2棟のアパートが建っていた。
あたしの推理からすると、どうもこのアパートがあやしい・・・。
もしかして、このアパートの一室に夜な夜な謎の集団が何か怪しいもんを作ってたりして
(なんかサスペンスもののテレビの見過ぎ?)
うっわぁ、想像するだけで怖すぎるわ。


そろそろ時間も夜の10時半をまわった。
今夜も例の音が聞こえてくるんだろうか・・・。
なんか怖いのと興味深いのとでドキドキする。


裏庭にある物置がじゃまでアパートの手前側がよく見えない。
そっと台所から裏庭へ出る。
物置の影からそ~~~っとアパートの様子をうかがう。
しかしなにも変化はない。あたりは静寂に包まれている。


・・・とそこへひとりのおばあさんがアパートの一室から出てきた。
たまに見かける姉妹で住んでるらしい高齢の女性だ。
この人が姉なのか妹なのかはわからないが二人とも品のいいおばあさんたちだ。


しかし、なんでこんな遅い時間に?
おばあさん危ないよ。こっちがハラハラする。
するとアパートの庭の水路わきに置いてあるプランターのところでそのあばあさんは
立ち止まった。


どうやらそこの花をながめているようだ。
手にはコップ?いや、湯呑みを持っている。
しかもなんか絵だか字だか書いてあるおっきいやつだ。
お寿司屋さんでもらった物とみた・・(笑)


あいかわらず、おばあさんは花を眺めている。
きっとふだんから大事に育てているんだろう。
おばあさんは花に目をやりながら手に持っている湯呑みを口に運んだ。


ぶわ~~~~~っ!!  ぶわ~~~~~っ!!


突然おばあさんは口に含んだ水を花に向かって吐き出しだ。


そしてすぐ、部屋へ戻って行った。
と思ったらまた湯呑み片手に戻ってきた。
どうやら湯呑み一杯では足りなかったようだ。


うっわぁ・・・・これだったのか・・・。
謎の音の正体が判明した。



恐るべし!   人間じょうろだ・・(笑)